LinExプロジェクト
スペインのExtremaduraでやっているLinExは、思ったよりもさらに注目されているということがわかってきた。ヨーロッパ全体において、anti-Microsoft(当然anti-USAの空気と根っこのところではつながっているわけであるが)の風潮が強いため、オープンソースのプロジェクトに対する注目は高いわけである。そういうところで、あるスペインの地方が「学校にコンピュータを導入して、LinuxとSqueakでやっています!」と打ち上げているので、エクストレマドゥラ地方(Junta de Extremadura)の長がEUの会合に呼ばれて話をしたり、あるいはこの間の選挙で選ばれたスペインの大統領も公の場でSeymour Papartの名前に言及したり、政治的にもヨーロッパ全体で大きな注目を集めている。
この大統領は例の爆弾事件の余波で、本人も「当選するはずがない」と思っていたのに当選してしまったわけである。公約には、いろいろ「できそうもないこと」、例えば「生徒2人当たり1台のコンピュータを全スペインの学校に導入する」ということを書いていたりしたそうであるが、何しろ思わず当選してしまったため、このコンピュータの話も実現させなくてはいけなくなったわけである。そのときにFront Runnerとして一足先に走り出していたLinExプロジェクトの存在意義がクローズアップされてきた、という効果もあるらしい。こないだの日記に書いた「Debianの"ian"の人」Ian Murdockも、意味もなく訪れたわけではないのだよな。
文部大臣はもともとAlanと同じように生物学者だったらしいのだが、前回Alanが訪ねてきて会談したときには、何十年も話をしたことがなかった生物の話をすることができたため、「もう政治家などやめて生物学に戻りたくなった」と言わせたり、国のトップレベルの人の心をつかんでいるところが強みであろう。
とはいうものの、やっぱり「カリキュラム問題」が解決されているわけではなく、まだまだ難しい問題はいろいろ残っているのではあるがね。
LinExのLinux distributionはDebianをおおむね基にしているが、インストーラをスペイン語のみのものにしてタイムゾーンの指定やキーボードの選択を飛ばせるようにしたり、エンドユーザ向けの改良をしたものだそうである。
スペイン生活
話には聞いていたが、ここの人々の暮らしぶりは本当に違う。今日はLinExプロジェクトの関係者とお昼ご飯を一緒に食べたわけだが、2:30に待ち合わせしたのが大体30分くらい遅れで集まって、たっぷり5時ごろまでランチタイムだったわけである。
晩御飯を食べるときにも、8時ごろにはまだレストランもお休みで、9時からオーダーをようやくとり始めるようなところが多い。だいたい11:00ごろにTapas(パンの上にチーズやハムや、鰯の塩漬けなどを乗せたもの)を食べて、というパターンが普通のようである。その合間にはBarでいっぱい引っ掛けているわけなので、いったいいつ働くんだ、という気がするもするわけではあるが。
今晩はUEFA Cup準決勝でValencia対Villarealというスペインのチーム同士の対決があったため、9時になると(というのがキックオフタイムだったのだろう)、いつのまにかTVのなかったわれわれのレストランからは人影が消えていた、というのも面白いところである。
Merida, Extremadura
MadridからはIberia航空の国内便でBadajozへ。林さんの大好きな鳥取-名古屋便のように、小さな飛行機である。くもりでなかなか下は見えなかったのであるが。Flight Attendantのお姉さんの制服が原色を大胆に使っていておしゃれだったり、お姉さんの身のこなしが優雅だったり、機内サービスがチーズだったり、とってもスペインである。小さい飛行機だけに、着陸時はとっても揺れて、普段はなかなか味わえない横滑り運動も含めた複雑な動きを見せながら、最後は堕ちるように着陸。
Badajoz空港にははDiegoと仲間たちが迎えに来てくれた。Extremaduraはヨーロッパ全体で見ても(多分GDP per capitaで)下から3番目くらいに入るような経済的に苦しい思いをしているところだそうな。それでもSqueakを6万台のコンピュータに入れたりしているわけなので、まさに米百俵である。
Meridaまで行き、Velada Hotelなるホテルに投宿。最初は別のホテルに行ってDiegoに話してもらったのだが、「予約されてたけどキャンセルされて、Velada Hotelになったみたいよ」とホテルの人に言われたそうな。これまたとてつもないlate-binding。本当にExtremaduraから帰してもらえるのかね。
夕方から、ちょっとした市内観光などを。ローマ帝国ルシタニア属州の州都だっただけに、ローマと同様で新しい家の工事を始めようとして地面を掘り返したりするといろんなものが出てくるらしい。「政府のビル」などのように遺跡の保存をした上で、その上に長い柱を立てて空中楼閣のようになっている建物もある。ローマ時代に作られたの橋は10年くらいまで車で渡っても良いくらいだったようだが、今は隣に近代的な橋があって、車はそちらを通る。それでも人やあひるは歩いて渡っても良いのである。きっとローマの橋のほうが長持ちするね。
Extremaduraの自慢はなんと言ってもハムなのである。世界一を自負している。晩御飯などの前菜には薄く切ったハムが欠かせないようである。口に含み、ちょっと噛んで舌の上で休ませてみたりすると、脂肪分がとろってしていえt、「まったりとしてまるで口の中でとろけるようだ」と言うしかない至福感が得られる。これはお勧め。
このハムを作る豚は、Pata Negra(黒い蹄(?))というExtremaduraにしかいない特殊な豚なのだそうである。Alanが去年来て講演したときにはSqueakers DVDから「Jennyの恒例豚レース」の章を見せたそうであるが、Jennyの黒豚が一等でゴールしたという場面で、何百人もいた聴衆が尋常でない喜び方をしたというエピソードがあるくらい自慢の豚なのだそうな。これは面白い。
晩御飯の席上では、Squeakの更新の仕方について、フォークとメインストリームの管理方法に関して熱く熱く熱く語る。
Madrid
朝7:30ごろにはMadridに着く。Badajoz行きのフライトは午後2時過ぎなので、Scottと一緒にMadrid散策と決め込んだわけである。
空港から地下鉄(Metro)に乗る。Metro網は大分発達していて便利である。地下鉄の路線図を見ると環状線的なものもあり、空港が北東のほうにあり、なんとなく無意識のうちに東京の縮尺を当てはめてしまう私である。"Sol"と呼ばれるあたりに行くのは成田から白金高輪に行くようなものなのかも、とついつい思ってしまうのだが、実際には乗り換え乗り換えで行っても30分くらいで行けるのである。微妙な混乱。
一部観光スポットとして有名なところににも行ったが特にあてどもなく歩き回り、barでコーヒーなぞ飲み、飼い主に写真なども撮らせて、3時間ほどで空港に帰る。空港に戻ってうろうろしていたら、Michaelとも会えた。
出だしから大変
American航空を使うのはもしかしたら初めてのような気はするが、Unitedに比べて明らかに係員がfriendlyに対応しようとする傾向がある。TVコマーシャルでもfriendlyなところをアピールしているのできっと会社の方針なのだろうな。
このフレンドリーさに救われたが、チェックインの時点ですでにいろいろと問題が起こっていたようである。
- そもそもe-Ticketだと聞かされていたのだが、実はそうではなくてそこでチケットの発券を受けた。自分で買ったものではないので、そもそも本当に購入されていたのか俺自身定かではなかったわけであるが。買ったのはスペインの人なので、なんだか遠くの機械に問い合わせして本当に購入されていたのか確認していたようである。「担当のおねえさん(いやらしいな)」も応答が遅いので相当いらいらしていた。
- 最終目的地はBadajozだと言ったのだが、LAXからひとつながりのチケットとして買われていなかったようで、そこまではいけないと言われた。これはMadridまで行けばなんとかなると言って済ます。そもそもBadajozなんて普通の人は知らんよな。最終目的地をMadridにして、ようやくコンピュータが受け付けてくれたようである。これを書いている時点では、またしても本当にBadajozまで行くチケットがMadridにあるのかどうかはわからんわけである。
というあたりまではまだ可愛かったのだが、
- Chicago O'Hareでの接続がきついようで、どうやらそのまま入力するとminimum required timeの制限に引っかかって、コンピュータがチェックインさせてくれないようである。「担当のおねえさん(いやらしいな)」は最初は1人でやっていたが、その後他の2人の援護を受けておかしいおかしいとやりはじめた。
「シカゴで一泊して明日行ってくれ」、と言われるかとも思ったが。おそらくはcode shareの時には、minimum requirement timeが違うようで、画面のどこかに隠れていた選択肢を選んで、ようやく受け付けてくれたようである。スペインで購入できた以上は許されるコネクションのはずだったわけだが、LA側での選択肢(なんだか複雑な条件の下のみ出てくる選択肢だったみたい)によってコンピュータが受け付けてくれたりくれなかったりするのであるな。
というわけで45分くらいは取られたと思う。これは記録だ。
セキュリティチェックのところでは、X線映像の画面をチェックしている若い係員が画面の前に携帯をかざして一生懸命テキストメッセージングをしていた。X線装置の列が複数あって、俺のいる列からはその係員のやっていることが丸見えだったわけだが、そこを通りかかったAmerican Airlineのパイロットたちが「おい、今度のこれをみてみろよ」というようなことを言ってにらんでいったわけである。このおねえさんはきっと首になるね。自○自○。