地味な仕事

10月末に書く年度末レポートに向けて、見た目派手なプロジェクトをしているわけですが、その中でも地味なパートはもう泥臭いです。

いまだにSqueakを使っていて、新しいグラフィックスエンジンをVM Plugin (DLL)にしているのですが、昨日Windows Updateをしたところ、そのDLLが動かなくなってしまいました。メモリの中からデータを呼んでほかのところに書くだけなので外部への依存性は何もないはずなのですが。

答えはどうやら準FAQ的な「DLL内で宣言されたstatic変数の初期化」でした。"static char mem[5000000];"という行があるのですが、これがなぜか失敗するようになってしまったのです。malloc()でロード時にアロケートするようにしたら再び動くようになりました。

今日の教訓: Windows おそるべし。

Points of View

Alanの70歳誕生日プレセントとして"Points of View"(isbn:9780974313115)という本が出ました。彼の著名な友人たちが寄せたエピソードやアイディアが詰まった本です。PDFもダウンロードできますが、美しく製本されたものも限定版として購入できます。 http://vpri.org/pov からぜひご購入ください。

Rainbows Endとレインボーズ・エンド

英語版と日本語訳の両方をもらってしまったので、ぼつぼつと読んでみた。

Rainbows End

Rainbows End

レインボーズ・エンド上 (創元SF文庫)

レインボーズ・エンド上 (創元SF文庫)

レインボーズ・エンド下 (創元SF文庫)

レインボーズ・エンド下 (創元SF文庫)

http://d.hatena.ne.jp/squeaker/20100127 のエントリでは「観念的」と書いたが、発表はこの小説の道具立てになっている未来技術の予測として強く結びついていたわけではある(まあそうなのだろうなとは思っていたが、小説ではない未来予測としての話として聞いてしまったので、もうちょっと強い根拠を求めてしまったのだよな)。

小説は、現在の技術動向から想像力を膨らまされる未来に思いを馳せ(まさに技術がそれ自身によって加速するというビジョンに立脚しないかぎりありえない進歩であるが)、San Diegoを知っていると思っている人が知っているはずの現実世界にオーバーレイされた拡張現実のことを思って"sense of wonder"を味わい(あの図書館が○○しちゃうなんて)、主要登場人物のなかにまともな人が一人もいない中で、それぞれが成長する姿を見て心温まるという話です。

英語版の文体はそれなりトリッキーで非文や前方参照が多い。そのため、すいすい読めるという感じではなく、日本語版の訳者の苦労がしのばれる...と言ってあげたいところではあるのだが、正直言って訳し切れていない個所が多いのがちょっと残念(Vernorに「訳がどんなもんか教えてよ」と言われたので正誤表を作る勢いで読んでいたのだが、力尽きました)。

ところで、ネットを検索していたら、なぜか原文がhttp://rb.68frogs.com/ にあるのだな。なぜだろう。

Legoで歯車遊び

最近ちょっとだけレゴの歯車でちょっとだけ遊んでいます。歯車があれば遊星歯車を作りたくなるのが人情で、それ自体は新しい話ではないのでウェブにもいくつか例が載っています。第一人者(?)のMike Fusion氏のところにあるものは、t40の歯車の穴を使って、t8を中心にt16二つで周りを固めるという戦術を基盤においているのですが、ところが僕がいくら試してもこの組み合わせでは噛み合わせがぴったりしていないし、ギアのどれかが360度まわならいものばかりでした。(まあこれはほとんど10年前の話ですが)。 http://www.geocities.jp/sugawarass/lego.html のものはすばらしいですが、今回はモーターを二つ接続して、出力軸に両方の入力を反映させるのが目標なので、そのままでは使えませんでした。

でも、その後 http://technicbricks.blogspot.com/2009/02/tbs-techtips-21-planetary-gear-set.html にあるように外周のギアとして使える部品が出てきました。これで太陽と惑星ギアをきっちり組み合わせられるのでかなり良い感じなのですが、それでも同軸上に3本のギアを置いてそれらが矛盾なく動けるようにする仕組みがなかなかできず、bricklinkからちょっとづつギアを買い足して試行錯誤して、ようやく今になってちゃんと動作するものの作り方がわかった次第です。

C5 2010

id:propellaさん同様、僕もUCSDのCalit2で開かれたC5 2010に参加してきました。今回は本当に単なる参加ですが。

初日の基調講演はLarry Smarrで、"4K"プロジェクタ(もう5年も前のテクノロジーだと何度も言っていたが、8メガピクセルのプロジェクタ)用の、非圧縮リアルタイム画像データ送信テクノロジーを核とする映像技術について。1989年ごろからtelepresenseの研究をしているわけでもあるし、そもそもInternet発祥のころからの研究者なので、歴史を振り返る話が興味深い。

8メガピクセルでもたとえば24fpsであれば、完全非圧縮でも500Mbps程度に収まるので、今でさえ太平洋を越えてもGbpsでデータが送れるし、将来もbandwidthの指数関数的な向上が見込まれるわけなので、動画圧縮方法の研究などには未来がないと言ってしまう所がなかなかであった。同僚Dはかなり懐疑的で、そういう単純な主張をしても、人口の大部分にそういうバンド幅を提供できるようになるまでにはだいぶんかかるのだから、圧縮技術を無駄扱いするのはひどいということを言っていたが、FTTHが当たり前になりつつある国もあり、各家庭にスペクトル拡散でデータが送られるようにでもなれば、国によっては案外もうすぐそういうことが当たり前になるのかもしれん。

二日目の基調講演はVernor Vinge。SDSUの教授は引退したのでどうやら時間は自由になるのか、初日から大分うろうろしていたので、休憩のときやレセプションのときなどに大分話をすることができた(例によってミーハーでRainbows Endの英語版と日本語版にサインしてもらいました)。「小説を書いていると、キャラクタが思わずへんなことを言ってしまうことがある。そういうときには、その段落を書き直すこともできるが、なんでそんな変なことを言ったのだろうと考えてみると、自分でも思わぬ展開になることがある」とか。Rainbows EndはAugmented RealityやSensor Networkを扱った話で、「Stand Alone Complexは知っているか」と聞かれたり(DVD全部持っていると言ってしまった)、「電脳コイルというのがかなりしっかりとしているらしいんだけど、まだ入手できていないんだよね」といわれたりした。僕はアニメ会には疎くなっているので、そもそも電脳コイルという作品は知らなかったし。ただ、残念ながらというべきか基調講演はやや観念的な未来予測に終わったというか、将来のネットワーク社会で人々のコミュニティの概念がどう変わっていくかということを軽く触っただけに終わっていたように思われた。発表資料はこちら(http://www-rohan.sdsu.edu/faculty/vinge/C5/index.htm)です。

Calit2のツアーは面白いといえば面白いのですが、ちょっと評価は分かれるという面もあります。力ずくで300メガピクセルのディスプレイを作りましたというところでも、じゃあ静止画を拡大して見せるだけで(Larryは天文学のバックグラウンドがあるので、りゅうこつ座イータの近傍の説明などは面白いですし迫力はもちろんありますが)、脳のスキャン写真の説明をされても「別に300メガピクセルいらないじゃん」という感想もありえます。NASA Amesにも導入してやっていますが、そちらにある大画面の絵をHDビデオカメラで撮影して、それをフィードしてこちら側に表示するという運用にとどまっているようで、まだまだソフトウェアはがんばる余地があります(というのは良いニュースかもしれませんが)。

民生向けのフラットパネルで3次元表示できるもので小規模なCaveを作ったりもしています。めがねを重ねても黒くならないぞと山宮さんが発見していましたが、今思うとhttp://itsa.blog.so-net.ne.jp/2010-01-15にあったような、3原色に異なる波長帯域を用いるという方式だったのかしらんと今は思います。

そういえば、La Jollaで「これはうまい」と気に入っていた、Prospect Plazaというところの2階にあったはずのイタリアンレストランが消滅していました。諸行無常

流体素子

http://en.wikipedia.org/wiki/Fluidics

というものが昔からあったのですね。しらんかった。某氏が昔ハードウェアアーキテクチャの授業をしていたときは、宿題として「海底二万里ノーチラス号に搭載するためのコンピュータを19世紀後半のテクノロジーで作ることを想定して設計せよ」というものを出したりしたと言っていた。リレー式のものを提案する学生が多かったが、空気の流体素子を使う学生もいて、そちらのほうこそが有力だったのではないかとのこと。