スペイン生活
話には聞いていたが、ここの人々の暮らしぶりは本当に違う。今日はLinExプロジェクトの関係者とお昼ご飯を一緒に食べたわけだが、2:30に待ち合わせしたのが大体30分くらい遅れで集まって、たっぷり5時ごろまでランチタイムだったわけである。
晩御飯を食べるときにも、8時ごろにはまだレストランもお休みで、9時からオーダーをようやくとり始めるようなところが多い。だいたい11:00ごろにTapas(パンの上にチーズやハムや、鰯の塩漬けなどを乗せたもの)を食べて、というパターンが普通のようである。その合間にはBarでいっぱい引っ掛けているわけなので、いったいいつ働くんだ、という気がするもするわけではあるが。
今晩はUEFA Cup準決勝でValencia対Villarealというスペインのチーム同士の対決があったため、9時になると(というのがキックオフタイムだったのだろう)、いつのまにかTVのなかったわれわれのレストランからは人影が消えていた、というのも面白いところである。
LinExプロジェクト
スペインのExtremaduraでやっているLinExは、思ったよりもさらに注目されているということがわかってきた。ヨーロッパ全体において、anti-Microsoft(当然anti-USAの空気と根っこのところではつながっているわけであるが)の風潮が強いため、オープンソースのプロジェクトに対する注目は高いわけである。そういうところで、あるスペインの地方が「学校にコンピュータを導入して、LinuxとSqueakでやっています!」と打ち上げているので、エクストレマドゥラ地方(Junta de Extremadura)の長がEUの会合に呼ばれて話をしたり、あるいはこの間の選挙で選ばれたスペインの大統領も公の場でSeymour Papartの名前に言及したり、政治的にもヨーロッパ全体で大きな注目を集めている。
この大統領は例の爆弾事件の余波で、本人も「当選するはずがない」と思っていたのに当選してしまったわけである。公約には、いろいろ「できそうもないこと」、例えば「生徒2人当たり1台のコンピュータを全スペインの学校に導入する」ということを書いていたりしたそうであるが、何しろ思わず当選してしまったため、このコンピュータの話も実現させなくてはいけなくなったわけである。そのときにFront Runnerとして一足先に走り出していたLinExプロジェクトの存在意義がクローズアップされてきた、という効果もあるらしい。こないだの日記に書いた「Debianの"ian"の人」Ian Murdockも、意味もなく訪れたわけではないのだよな。
文部大臣はもともとAlanと同じように生物学者だったらしいのだが、前回Alanが訪ねてきて会談したときには、何十年も話をしたことがなかった生物の話をすることができたため、「もう政治家などやめて生物学に戻りたくなった」と言わせたり、国のトップレベルの人の心をつかんでいるところが強みであろう。
とはいうものの、やっぱり「カリキュラム問題」が解決されているわけではなく、まだまだ難しい問題はいろいろ残っているのではあるがね。
LinExのLinux distributionはDebianをおおむね基にしているが、インストーラをスペイン語のみのものにしてタイムゾーンの指定やキーボードの選択を飛ばせるようにしたり、エンドユーザ向けの改良をしたものだそうである。
Calamonte Instituto
お昼ご飯前にはそのような高校のひとつであるCalamonteという小さな町にあるInstitutoと呼ばれる高校(?12-18歳)に見学に行った。ここはすべての教室にコンピュータが置かれていて、使いたい先生はいろいろなやりかたで使っている。本当にどう使っているのかをちゃんと見るだけの時間がなかったのは残念であるが、生徒の出欠状況や成績の管理のソフトも自分たちで作り(70年代のBASICのような話だが)、Webベースで見られるようにしたり、先生はVNCに基づいた仕組みで生徒の画面に何が写っているか、あるいは逆に自分の画面を各コンピュータに見せたり、いろいろなことができるようになっている。
面白いのはデフォルトでデスクトップにおかれているアプリケーションの名前が、Extremaduraの名所史跡の名前にちなんだものに変えられていることである。名前は忘れたがある遺跡名をクリックするとOpenOfficeのワードプロセッサがあがってきたりとか。自分たちのものなんだ、という感覚を現場の人がひっしともってやっているということで、これはなかなかエキサイティングだよ。
実は、あるクラスが終わるあたりで、教室の中にScott、Michael、Diegoと一緒に入ったわけである。ラテンの子供だけに、外人が来たということで予想通りもう大騒ぎになってしまって、「ハロー」とか「オラ」と言われたり、あとは何がなにやらわからないジェスチャーを投げかけられたり、とても恥ずかしかったなあ(親指と小指だけ伸ばして他の指を曲げて、ほっぺたの辺りで動かす(そしてにっこりする)というのはいったいどういう意味だったんだろう)。
僕も昔とった衣笠でイタリア語の知識がある程度使えるので、むりやりスペイン語風にしたイタリア語で話したり(まあ通じているような気もするときがある)、ちょっと受けを狙ってしまったところではある。軽薄だが。
TrueTypeフォントのアンダーライン
「お昼ご飯」の後は、ちょっとしたハックタイムとなった。PianoRollを使って、ドロップされた任意あのオブジェクトのactionを起動できるようにすることをどう実装するかについて話した後、僕はときどき小耳に話の進展を聞きながら、TrueTypeフォントベースのテキストで、下線を合成してつけられるようにする変更をした。2時間くらいである程度動くものにはなったので、明日の午前中に細かいところを詰めて行きたいと(今は)思っている。