OLPCの記事 on gizmodo

http://www.gizmodo.jp/2007/12/olpc.html

なにこれ? 元のWSJの記事さえ読んでいないようにしか見えないが。「2000人の生徒しか」って、これまでまだ大量生産にも入っていなかったのだから当たり前だし、「過当競争」じゃないし、ClassmateやEeeがXOよりも廉価というわけじゃないし(引用されている先の記事には値段が書いてないのに)。「口約束で終わった」というリンクで引用している記事はペルー関係ないし、「100ドルの目標価格が達成できなかったのはWindowsじゃないから」って?Windowsが3ドルって別に新しい話じゃないし。

  ...と思ってgizmodo.comの「原文」というやつを読んでみると、原文もある程度意地が悪いが、何しろ日本語訳がでたらめだということがわかる。原文では、人気がない理由として、「100ドルの値段が達成できなかったこととWindowsではなかったこと」の二つがあげられているのだが、訳のほうでは「100ドルの値段が達成できなかった理由がWindowsではなかったこと」となっているのだよね。satomiさん、しっかりね。

ネグロポンテの言っている「ライバル社のものでもよい」というのも2年前から同じこと言っているし。(だから、ちょっと前にNNがインテル叩きの発言をしたのは本当に失敗だった。)コメントではClassmate PCとEeeが同じものだと思っている人はいるし。というか、次世代機はClassmateがOLPCと同じものになるのだが、そのことはフォローできていないし。

元のWSJの記事も辛口だが、「終わっている」ということは書いていないし、リビアの高官の言葉と、サブタイトルを除けば、プロジェクトに関する正当な評価と言える。が、まあこの手の2次情報サイトは正確に伝えるということはさらにどうでもよいものなわけだしな。

OLPC

自分のソフトはそっちのけで(ということもないが)、メーリングリストでも活動。

http://lists.laptop.org/pipermail/olpc-open/2007-December/thread.html

あたりにあるところで、「俺、児童心理学のPhDもってんだけどさ、コンピュータが勉強の役に立つってほんとなの」というtall897さんがいて、彼がテクノロジー信者によってたたかれている。テレビとコンピュータを同列にして、すごい革命が起こるんだというのはあまりにも単純。私はコンピュータを上手に使えば役に立つとは思うが、ウェブを子供が見られるようにしてもあんまり意味ないし、まさかテレビやiPodや携帯が人を「生産的」にしているという人を見るとあきれてしまうわけではある。

Etoysだって子供の創造力を伸ばすとか言って使わせている大人をみると、「ちょっとまて」と思うわけだし。子供がほうっておいてもできることと、教えないとできるようにならないことの区別をしっかりつけなくてはならないぞ。

Neil Postmanの"Amusing ourselves to Death"をようやく読み終わったのだが、テレビのあほらしさを知るには最適といえる。テレビの文法では、ずっと論理を積み重ねて議論を進める、ということはどうあがいてもできない。そのため、そういう議論をしなくてはいけないもの、たとえば政治とか数学とかの本質的な議論はできないし、科学も「絵になる」ものを見せることしかできない。本であれば途中でコマーシャルが入っているということもない。テレビは「愚にもつかない娯楽」を提供しているときは良いのだが、問題は、そういう特性を持ったメディアであるテレビが「よいことをしよう」と思ったときで、政治などを取り扱おうとするのだが、そういうときにこそとりあつかっている対象を破壊してしまう。

Technopolyという本も読んでいるのだが、テクノロジーはただの道具とも言えるが、その特質によってある種のことを可能にし、ある種のことを不可能にする。だから「テクノロジーは中立であって、良し悪しは使う人の使い方の問題」というのは、テクノロジーのことがあまりよくわかっていなかった19世紀には言っても良いことだったかもしれないが、20世紀後半(以降)の人がそういうことを言うのはあまりにもナイーブだということでもある。

Amusing Ourselves to Death: Public Discourse in the Age of Show Business

Amusing Ourselves to Death: Public Discourse in the Age of Show Business