「ご臨終メディア―質問しないマスコミと一人で考えない日本人 (集英社新書)」

森巣博という人のことはまったく知らなかったし、森達也のこともかすかに聞き覚えがある程度であったが、最近ところどころで僕も繰り広げているテレビメディア批判に関する話かと思ってふと手にとって見たわけである。

メディアがちゃんと質問しないとか、テレビ局の職員は給料が良すぎなのでその地位を脅かされたくないために責任を取ることになりそうなことはしないとか、オウム信者の転入を拒む時自体は憲法違反だけどそういうことを追求しても視聴率が取れないから不気味さを訴える報道がなされるとか、パチンコの景品交換は違法なのだが警察の利権になっているので摘発されることなく横行しているとか、まあそういう当たり前の主張もそこかしこにされてはいる。ただ、多くのところで明らかな事実誤認に基づいた主張(というか放言)がなされているので、そのダブル・スタンダードぶり、つまり自分の言いたいことに沿っていれば、間違った情報であってもそれに基づいてえらそうなことを言ってしまう、という困ったちゃん状態(特に森巣氏)なのが目に付く本である。

というか、森氏は(ある程度)自分の経験から語ることがあるようだが、森巣氏はメディア関係のことについては、20年くらい遅れた情報で勝手に想像していることを適当に対談でほざいているだけじゃん。まさにいまどきの左翼。

橋本龍太郎が総理大臣のころにも、「橋本総理が記者にもっと勉強して質問してくださいよ、というようなことを言うのは権力の横暴だ」というような記事を読んだ記憶がある。そういうものかと思っていたが、インターネットで記者会見の模様がテキスト化されて、麻生太郎に記者が軽くもてあそばれているのを読んだりすると、新聞記者などは本当にだらしがないことが良く判ってしまう今日この頃ではある。

一日に一冊本を読んでも、一生の間には3万冊くらいしか読めない。悪書だったら読まない、というのが重要な読書法のはずなのに、結局全部目を通してわざわざ悪口まで日記に書いてしまっている私である。逃避だ。