アラン・ケイのインタビュー

今回のAlanのインタビューはなぜかよく読まれているようですね。ついついブログ検索などしてあちこちで言及している人のものを読みましたが、好意的な意見が多いように思われます。(Python edu-sigで盛んに活動している人などが読んだらまったく逆の意見が噴出してきそうですが)。

批判の一部に、Xerox PARCがすごかったといってもPARCの研究成果はXeroxの儲けにはぜんぜんならなかったじゃないかということからつながっているものがあるようですが、PARCへの投資は、レーザープリンタの成功によって回収されているそうです。研究というものはあたりはずれがあるという見地に立てば、投資を回収できるだけの成果はあったわけなので、研究所としてはちゃんと最低限の役目は果たしたわけですね。PARCの例に限らず、先端技術研究への投資はなんだかんだいって見返りがちゃんと出ることが多いという話も聞いたことがある気がします(ソース希望)。あと、その他の技術がXeroxの収入につながらなかったのは確かですが、それをもって研究者達が世の中を動かすものを生み出さなかったかのような論調にはつなげるべきではないと思います。

以前どこかに書きましたが、生物の進化・世の中の動きというのは、決して「進化」という言葉が暗黙的に示すような「良い方向に進む」というような定方向性を持ったものではなくて、「そのときどきでたまたま消え去ることがなかった」という偶然が積み重なって来ているものだと思います。ですので、現在われわれが見ているものが「ありうべき現在の中で一番良いものになっている」わけではない、という認識は必要だと思っています。