電化製品のパッケージ

ボストンのホテルに携帯電話の充電器を失ってしまってしまった。日記作家さんが交渉術を発揮してもらって探してもらうように頼んだのだが、音沙汰がないのであきらめて新たに購入することに。何軒か回って結局Best Buyで買った。

アメリカでその手のものを買ったことのある人はご存知だと思うが、電化製品の多くは、硬い硬いプラスチックでへりのところもしっかりと固められている、というようなパッケージになっている。はさみかカッターを使わないとなかなか開けられないし、切り取ったプラスチックが手に刺さったりして2回に1回は痛い思いをする、というたいへん不親切なものである。ただ、今回買った"Just Wireless Ultra"という製品のやつは、硬いプラスチックで包まれてはいるものの、"EASY OPEN TAB"というところをびりびりと引っ張ると手だけで開けられるという優れものであった。

大学のときに木村先生の授業で読んだワインバーグの本の中に、スイス人がアメリカ人に向かって「なぜ額面の違うお札が全部同じ色で同じ大きさなのですか?」と聞き、そういうことを思ったことのなかったアメリカ人がびっくりする、というエピソードが書かれていた。要するに、物事をデザインするときに、自分のマインドセットにない他の可能性を考えるのは難しいという事だったわけだが、アメリカにおける電化製品のパッケージも同じようなものなのだと思っている。「硬いプラスチックではさみを使って苦労して開けるもの」だけを見て育つと、そこに他の可能性があることに気がつかないというようなものなのだろう。

というようなことを思った、ということを自戒を込めて書いておこう。