もしこのまま続けば

僕もこのくらいの年の(「元」というべきか)SFファンなので、ハインラインの小説はほぼ全部読んだわけです。Alanはもっとリアルタイム的に読んでいたわけで、話をするとありえないような薀蓄が飛び出したりすることもありました。たとえば、「地球の脅威」という作品(ちょっとロマンス入りで僕もお気に入りですが)には、月世界で人工の羽根を持って飛んで遊ぶ、というシーンが出てきます。その中で使われている人工羽根のメーカー名が(今本が手元にないので調べられませんが)、作品が書かれるちょっと前にScientific Americanか何かに発表されていた空力学の論文の著者名になっていたりしているそうです。ハインラインは、そのように現実世界とのつながりを使ってリアリティに味付けするというようなことをあちこちでやっていたそうです。

数週間前に日本にいたときに、televangelistたちの活動とBushの選挙の話になりました。テキサスに元球場を改装した38000人(だったかな)入るような説教場をあるtelevangelistが作っているというような話をDr. Knudsenの娘の旦那がしていて、うーん、こわいこわい、というような話です。

そのときに思ったのは、「もしこのまま続けば」などのような、未来史の中の現人神もの(ネヘミア・スカダーか)の話です。

この先何年後かにtelevangelistの一人が大統領に立候補したりして、Bushのように「神が私を通じて話しているように感じる」とか言うだけで済まずに、CGを使って「顕現」するところをTV上でやって見せたりすると、案外多くの人に結構通用するような世界が近いのかも、と思ったりします。「帝国の論理」では、哀れ金星の農場に奉公人としてとらわれてしまった地球人が、「現地人」から「ネヘミア・スカダーが今に助けてくれると言って、地球人の彼が「あの宗教狂いのあほが?」と笑いを噛み殺すのに苦労するというような場面がありましたからね。うーん、怖い怖い。