「米国税関が新制度を近くスタート、入国者が所持するPCのデータを丸ごとコピー」http://www.technobahn.com/news/2008/200805161507.html

という記事が巷をにぎわせているが、元記事のGuardianの記事というのはこれかな?
http://www.guardian.co.uk/technology/2008/may/15/computing.security
どこにも新制度を近くスタートさせるとは書いていないが。

これは数ヶ月前から話題になっていたが、事実関係としては電子機器の中に入っているドキュメントもかばんの中に入っている紙と同様に検査の対象にしてよいという判決が先月下されたということで、国境では特に捜査令状がなくても合理的な範囲内で捜査を行ってよいという判例が以前からあったものの、電子機器の扱いがあいまいだったということではある。http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/02/06/AR2008020604763.htmlにUS Customs and Border Protectionの意見があるが、別に皆のものを無条件に丸ごとコピーするわけはない。というわけで、technobahnというのがどういうサイトなのかは知らないが、どうやらいい加減なところらしいということはわかる。

まあ疑うなら「もうネット越しに入ってくる情報はすべて解読して管理できるところまで来たから、手持ちのところも押さえてしまおう」とKGBが思っていると言えなくもないが、おそらくはそういうこともでもない(KGBは「ソ連国家保安委員会」だが、US Department of Homeland Securityは「アメリ国土安全保障省」ということでまあ結局名前からすれば同じようなものだが)。

とはいうものの、まあひどい話だよな。そんなところで技術力のある人がたくさんいるわけでもなく、ちょっと隠す気になれば簡単に隠せるものなのに、わざわざ調べる人員を無駄に割いていったいどうしようというのだろう。