OLPC San Francisco Summit 2011

OLPC-SF Summitはなかなか楽しいイベントだった。故あってOLPCおよびSqueakland界からは少し離れていたのだが、たまには様子を見に来るのも良いかなと思いたっての参加であった。実は今でもタンザニアケニアマダガスカルやハイチや中米の国々では新たなパイロットや正式展開が行われていて、そこに出向いて手伝っている人々がずらっと集まったりしているので、会議のエネルギーはやはりあるわけである。Mary Louも来ていたし、SJ Klein、Adam Holt, Christoph Demdorfer, Bernie Innocenti, Mako Hillなどよくいる顔ぶれもたくさん来ていた。全部で120人くらいだろうか。

OLPC-SF Summitには、事実上のホストファミリーがあって、Bolinasという町に大きめの家を構えているKleiderさんという人が、カンファレンスパーティーのバーベキューを主催したり、一部の参加者を泊めてくれたりととても良くしてくれる。私も主力参加者たちの群れに混じって運良く泊めてもらうことができた(これは本当にすばらしい経験だった)。

OLPCでは新しいハードウェアをまだまあ開発中で、1つはXO 1.75というARMベースのもの。パフォーマンスは1.5と似たようなものだが、電池の持ちが大分向上し、加速度センサーも内蔵する。(こちらは1.75のプロトタイプで"ヤッコ"が遊んでいるところ。http://www.youtube.com/watch?v=ahkOIlLL--4)

XO-3というタブレット型も鋭意開発中。ただ、なぜタブレット型が良いのかという議論なしで良いのかという疑問は各方面から出ていた。マルチタッチでもないし。

XO-1のタッチパッドは最悪で、今でも世界の子供を困らせている。タンザニアは近くに鉄鉱山があり、あたりにある埃はみな砂鉄まみれのため、タッチパッドはおろか蓋の開閉検出用の磁石に、風が吹くたびにぞろぞろ砂鉄がついてしまうとか。過酷だ。

ソフトウェアもあいからわずである。GTKのバージョンが2から3に上がってしばらく経つが、Sugarも2にとどまっていることができなくなって今度のアップデートでGTK3にあがるが、非互換性のために外部アクティビティが軒並み動かなくなるとか。開発者たちはソフトウェアというのはそういうものだ、と言わんばかりの態度だが、やはり「お互いの足をすくいあっている」という感は否めない。

私もいきさつから1時間ほど講演することになった。ねたは10年もののEtoysなのだけど。発表では、いきなりユリウスカエサルの"本当の悲劇は、悪意ではなく善意によって引き起こされる"を引用して、我々皆善意でやっているけれども、それだけでは悲劇になってしまうかもしれない。先生たちが何を教えるべきか、子供たちが何を学ぶべきかを考えることにしようではないか、ときつめの導入から入ってみる。LogoやEtoysの歴史に触れ、理科や数学ネタのプロジェクトをたくさん出して適宜説明を加え、Sugarのアクティビティをいくつかdisる。これで受けないわけもない。そもそも、OLPC界でもEtoysのことを知らない人は次々参入してくるので、drive a carをするだけでもどよめきがあがるし。フランスから来ているマダガスカルパイロットを手伝っている若いボランティアの子を泣かしそうになってしまったり。Claudia Urreaという人がOLPC Association のLearning Directorなのだが、彼女が私の数時間後に発表した内容は、私が言ったことの参照がたくさん入っていたりしたので、まあ講演はまずまず成功したのであろう。

でも、Etoysの開発に戻るだけの余力はないので、無責任感は否めないのだよな。どうしよう。