大学時代の友人
大学時代の同級生には一風変わった人が多く、私などは綺羅星のごとしだった同級生達と比べて、ごくごく目立たない学生だった。特に2年生になって学科所属されたばかりのころは、内気な性格のために仲間に溶け込めず、皆が楽しそうに語らっているところを柱の影からそっと見ているような学生であった。だが、家で孤独に遊んでいたかーに・グランプリというPC-98用のゲームが大学でもはやり始めたそのとき、私にもチャンスがやってきたのである。このゲームの2面には戦略的に配置された岩が並んでいるところがあって、皆はそれらの岩を迂回して走ってタイムロスしていた。だが、私は自ら編み出した巧みな方向転換テクを使って、それらの岩の間をすり抜けるという走りを披露してしまったのである。その結果、ドッジボールの上手な小学生がクラスの人気者になるのと同様に、瞬く間に計算機実習室の人気者に躍り出てしまったわけである。
というのは実はかなり脚色が入っていて事実とは異なる面があるのだが、お話としてはそのほうが面白い(かなあ)ような気がするので、まあそういうことにしておこう。
かーに・グランプリに関してはやりすぎで留年してしまったS君のような人も出るくらい中毒性があったわけでもある。私は比較的早めに飽きてしまっていた記憶があるのだが。
というような事を何で書いているかというと、最近同級生で年貢を納めている人が出ていて、なにやら近況報告などが行われているからである。そこで、大人になったと思っている友人達に、消す事のできない過去があるということを微かに突きつけておこうかなと思ったりしたがためである。