ESUG (3日目)

朝いちもなにかが行われていたらしいが、つまらなそうなので男の子部屋で仕事。John McIntoshのGCに関する発表。一般的なGCの分類と、VWやVAやSqueakがどのようにGCをするか、そしていろいろなアプリケーションでのパラメータチューニングなど。

院生になって最初に柴山先生の授業で発表したのがGCの分類に関する紹介だったりしたので、よく記憶に残っている。暑い夏で、夏休み前の最後の授業で、ちょっとスライドを用意しすぎて押し気味になって、先生も含めみんなが「さっさと終われよな」という感じでうんざりした空気が流れたことを覚えているな。

Smalltalk/Xのオブジェクト生成は3命令くらいだそうだ。Squeakも速いけど、1000命令くらいはかかる。

毛玉に気をとられていたので、基本的には眺めるだけ。

Typewize(typewize.org)というシステムの紹介。固定幅の画面を仮定し、グリッド単位で何を表示するかのデータをHTTPサーバーからもらってきて、それをレンダリングする。簡単なGUIで、keyboardから簡単に操作できて、ネットワークバンド幅が限られていて、簡単に構築できるようなアプリケーションに向いている、との主張。

午後からは電車に乗って近くの面白いところを見る視察の旅に(観光じゃないよ)。Ferropolisという鉄道博物館に行き、歴史が取り残したとんでもない異形の列車たちを見る。Mig-17のエンジンを積んで、雪を溶かしながら進むやつとか(推進力がありすぎて、それをとめるために2台の貨車をつないでブレーキにしている)、キャタピラつきで横に動くやつとか。70000アンペアの電流を流してレールを溶接しちゃうやつとか、超高温の水だけを積んで、火を使わずに400kmくらい走れるやつとか。みんな何十年か前に作られた年代物である。おっちゃんがドイツ語と英語で説明してくれるのだが、この英語がものすごくて面白かった。それぞれの鉄の塊についてドイツ語で説明した後、"In English, ..."と言ってちょっと躊躇してから大声でむちゃくちゃな英語で説明する。こういうのを聞くのはとっても楽しいので、彼が英語文脈の中で"みく、じーぷつぇーん"とか言ったりするのを、「Ah, Mig Seventeen!?」とかつないであげたりしていたらすごく気に入られてしまったようで、集団が別の機械の前に移動して、説明を英語モードに切り替えようとするたびに、"My Friend!"とかいって僕を探してから話してくれるようになったりした。恐るべきおじさんキラー発動。

Ferropolisには、1940年代から80年代にかけて東で作られたに巨大な(巨大です)石炭発掘機が何台か陳列されている。同じ機能を果たすのにさまざまな形のものがあり、美的なものを一切目指さずに「力」というものだけを体現した機械たちに、逆にカンブリア期の生物に対するような憧れを覚える。

それはともかく、今日もいろんなヨーロッパのSmalltalkerと話したな。普段はあまり意識しないが、Squeakを仕事にできている人はそんなにたくさんいないわけで、やっぱりかなりラッキーな立場にいることを実感。

Koethener Zeitungというローカル新聞に、"Am Freitag ist Lehrertag" (金曜日はTeacher's Day)とかいう見出しで、ESUGのTeacher's Dayの記事が載っていました。そこには世界からESUGに参加者が集まっているというような見出しのついた写真が載っていたのですが、「世界」を表現するときに唯一のアジア人参加者である僕の絵を使いたかったようで、新聞にばっちり顔が載ってしまいました。