シカゴ行き

SqueakFestというイベントに参加するため、シカゴに移動。朝、空港までの足はSuperShuttleを使ったのだが、なかなか混乱していて面白かった。ドライバー曰く、dispatcherの給料を下げるため、ベテランをやめさせてティーンエイジャーに代えたためだそうなのだが。La CrescentaからGlendaleに来て、一組をBurbank Airportに降ろした後LAXに向かう、という確かに謎のスケジュールだった。このドライバーはFreewayの混雑を過剰に評価している、というか一般道の信号などの要因を過小に評価しているようで、BurbankからLAXに行くときにもやや迷走気味。素直にI-5から110で行くのが、car pool laneを有効活用できてよかったようにも思うのだが。

そんなこんなで機内。Scientific Americanの8月号には面白い記事がいくつか。MRAMのように磁性体を使ったロジックゲートを、FPGAのようにダイナミックにゲートの機能を切り替えることができるようなる(だろう)という話。ひとつの(なんというのだろう)単位がandとnandかorかnorに切り替えられる。また、CMOSトランジスタ14個必要とするXORゲートは、この単位2つで作れるとか。

GHzのスピードでゲートの機能を切り替えられるわけで、今の典型的なソフトウェアとはぜんぜん違うものが現実的になるのかもしれません。

もうひとつの記事は、子供の発達心理学。記号というものを2歳半と3歳の子供がどのくらいちがったように理解できているか、というのを写真を見せたり、縮小したミニチュアの部屋を見せたり、「先生はね、なんでもちっちゃくできてしまう装置を持っているんだよ」と言って、ある部屋を模したテントの中で遊ばせた後「今からその装置で部屋全体を小さくするから、ちょっと隣の部屋に行っていてね」と言って部屋を小さくし、子供に、隠しておいた人形などを探させる、という話。「さっきの部屋の模型なんだよ」と言ったときにはわからなかったことが、「これは本物を小さくしたものなんだよ」という方が、実体と記号という二つのコンセプトを必要としないので2歳半の子でもわかる。

子供が虐待されているらしいときに、警官がリアルな人形を渡して、「おじちゃんにどういうところを触られたのか言ってごらん」と言っても、しばしば子供はその人形が自分をあらわす記号ということが理解できないので、なかなか本当のことを伝えられない。この知見が得られてから、少なくともひとつの州では人形を子供に渡して証言させることは禁じられた。

アルファベットを教えるときにも、ひらひらとページが飛び出てきたりする本よりも、単純にアルファベットが大きくきれいな字で書いてあってAならりんごの絵が別に載っているだけの本を与えたほうが、学習が早い。記号という概念の習得は簡単ではないので、そのときには記号だけに集中させるようにして、記号以外の具象物(飛び出すページとか)はない方が良い。

とかいう話でした。これは幼児の話ですが、Squeakのようなシステムの記号的側面と絵の側面のバランスについて考えさせられるところもあります。