Disney MobileとiPhone

Disneyにいたときに参加していたプロジェクトのひとつは、今Disney Mobileというサービスになっている、リッチコンテンツの付加価値つき携帯電話の初期調査とプロトタイプアプリ作りでした。当時はまだ160x120のカラーディスプレイを持った端末が日本においてもハイエンドだったころでしたので、「電話ではそれほどたいしたことはできない」という意識が多くの人に会ったのは致し方なかったとは思います。が、「家族と話ができて、ディズニーのリングトーンがダウンロードできたら良いね」というレベルに落ち着いてしまった感じで、「大々的にすごいものを打ち出そう」という雰囲気にはなりませんでした。「こーんなちっちゃいスクリーンのものでいったい誰がテレビを見たり、メールなんか書いたり読んだりするの?」という感じで。一方ディズニーのデザイナー達だけに、振ったら何かが起こるようにしたいとか、しゃべったら何かをするようにしたいとか、自分のテーマで他の人の電話を鳴らしたいとか、いろいろアイディアは出ていたわけですが、僕はなんとなく「技術的にはそれは難しいよね」ということをいう態度になってしまっていたことも反省点ではあります。「PDA一体型のスマートフォンならもっともっといろんなことができるよ」ということはそっとしばしば主張していたのですが、「スマートフォン?そんなのややこしすぎるよ!だいたいそういうのって仕事用でしょ?」という反応にしばしば迎えられていましたね。

それでもカラフルで大きなボタンを画面に配置したりものを作ったりしていたのです。また、ハードウェアは既存の電話会社が作っているレベルのものを念頭においていましたし、かなり早い段階でのサービスを狙っていたので(日本ではすでにマーケットが離陸した後で、とにかくアメリカでもはじめなくちゃという感じだった)、なかなか「将来はこのくらいにはなるはずだ」という予測を見通して行動するという感じではなかったのがいけませんでしたね、今から思うと。

というわけで、Disney Mobileが提供しているサービスは今でもそういうレベルなものなわけです。それから数年後、Appleは「ハードウェアから作ることもやぶさかではない」という主張をし、iPodなどの経験を生かして、新しいデバイスとともにサービスを打ち出してきました。まあまだ成功するかどうかは分かりませんが、Disneyもせめてsmartphoneへの成長路線を考えたまま来ていればよかったのかもしれません。(つってもAppleとDisneyは友達だから、こちらも統合したりするのかもしれないけど)