Baseball Between the Numbers

今年もひそかに野球熱が進行しているので、"Baseball Between the Numbers: Why Everything You Know About the Game Is Wrong"という本を買ってぼちぼち読んでいた。メジャーリーグのさまざまな記録から、送りバントや敬遠や盗塁などの作戦がどのくらい得点の可能性を変えるか、そして以下に一般に受け入れられている基本的な成績が選手の実力を反映したものではないかということを事細かに述べた本である。仮想的な「ぎりぎりメジャーに入れるか入れないかのレベル」の選手と比較して、一試合あたり何得点余計にチームに貢献できるか、あるいは球場の特性や時代の特性を正規化するためにどのような指標を使うかというような話もある。一部あまりにも凝りすぎて恣意的に見えるところまで来ているものもあるが。

普通のチームは、3番と4番に強打者を置くが、とにかく出塁率を見て、出塁率の高い順に1番から並べるのが良い、そしてホームランバッターも1番においておけば打数が増えるのでチーム得点も増えるという話である。つまり、SFはバリーボンズを一番にせよということである。ボンズは2004年には100回以上敬遠されて出塁率6割以上を記録したが、実際には試合終盤で競っていて1点の意味が高くなったとき(leverageが高いとき)で次に来るバッターがピッチャーレベルのバッターのときくらいしか、敬遠して得点の可能性が下がることはないとか、盗塁はいくらしても(特に失敗することがあるので)チームの総得点にはほとんど影響がない(ただ、走れるランナーが塁に出たときは次の打者の打率は確かにあがる)とか、良いキャッチャーというものはないとか、「チャンスに強いバッター」というのも実際にはいないといってよいとか、なかなか勉強になった。

この本の問題の一つは、調子の波に関する考察がないことだろうか。年間2割8分打つバッターでも、打てないとき打てるときがあるわけで、バントや敬遠などの作戦もそれがわかっているとすれば効果は大きく変わってくるはずである。昨日まで打てなかった人がスランプを突如脱出するということもあるので、スランプだということを当てにして作戦を立てて失敗することを考えれば、結局はあまり意味という結果になるのかもしれないが、これは統計からはなかなか読み取れないので難しいのだろうな。

というわけで、よっぽど暇人ではない限りお勧めというわけではないが、野球の記録について際限なく話をしたい人は読んでみてはどうだろうか。

それはそうと、MLB.comにはありとあらゆる記録が載っているので、いろいろ眺めていると面白いのだが、日本のプロ野球で同様に情報を得られるサイトというのはあるのだろうか?

Baseball Between the Numbers: Why Everything You Know About the Game Is Wrong

Baseball Between the Numbers: Why Everything You Know About the Game Is Wrong