Beatrice Hoheneggerの講演

Liquid Jadeという本を著したBeatrice Hoheneggerさんによる茶に関する講演がHollywoodのとある本屋で開かれたので、それを聞きに行ってきた。実は、その本の茶道に関する章は、某日記作家さんの先生が協力したということなのだが、講演の途中でお手前の実演をするということで、日記作家さんともども手伝いに行ったわけである。

講演は、中国起源の茶がどのように世界に伝わっていったかを、特にイギリスが中国やインドで行った政策と絡めて説明していた。中国からの輸入に頼っていたイギリスは、見返りにする産物がなかったために、インドで作っていた阿片を圧力をかけて合法化することによって、阿片を売れるようにしてアヘン戦争が起こった。イギリスに茶が伝わる前は、人々は子供も含めて朝ごはんのときにはビールを飲んでいて、生産性があがらなかったが、お茶を大衆に広めることによって、朝から元気よく働く労働力が供給されるようになり産業革命が起こる一要素になったとか。

とてもよく調べているようだったし、しっかりとした話方で、さらに判らないことはわからないと言っていたので、とても好感の持てる講演であった。

彼女はイタリア人とドイツ人のハーフで長らくイタリアに住み、アメリカ人と結婚してフランスにも少し住んだということであった。アメリカ人は皆「べあとりす」と呼ぶわけだが、得意のイタリア語を発揮して「べあとりーちぇ」と呼んであげて、「サインしてくださいと」か「私の名前はよしきです」とかイタリア語でサービスしてみた。

それはともかくHollywoodのMelrose Aveのあたりは、ニューエイジ系やmystic系やヒッピーっぽい人々の溜まり場で、講演のあったBodhi Tree Bookstoreも、売っている本は、アカシックレコードがどうとか、江本氏の名前入りの「水の結晶」の写真があちこちに貼ってあったりという感じで完全に行ってしまっている所だったわけである。Beatriceの話はまともだったのだが、他の週の講演は「Psychic Reading for Animals」とか「inner message」とか「Planet-X」とか完全にあやしかったし、「イベント担当」の人もBeatriceの父方がもともとスイスの某所から来たという話を聞いたら「あー、そこってなんとかいう世界経済を支配している秘密組織が生まれたところだよね。今でも全部彼らがコントロールしているんだよね」と言ったりしていた。裏千家があまりそういう怪しい話と同類だと思われるのは良くないとは思うが。禅由来の茶道の持つ精神性とニューエイジの精神性は、一見似ているように思われる面もあると思うが、ニューエイジが根源的に持つ「浅さ(願えばかなう)」は、禅の持つ諦観が織り成す深さとは相容れないのではないかと思う。

Liquid Jade: The Story of Tea from East to West

Liquid Jade: The Story of Tea from East to West

http://www.beatricehohenegger.com/