LinExプロジェクト

スペインのExtremaduraでやっているLinExは、思ったよりもさらに注目されているということがわかってきた。ヨーロッパ全体において、anti-Microsoft(当然anti-USAの空気と根っこのところではつながっているわけであるが)の風潮が強いため、オープンソースのプロジェクトに対する注目は高いわけである。そういうところで、あるスペインの地方が「学校にコンピュータを導入して、LinuxSqueakでやっています!」と打ち上げているので、エクストレマドゥラ地方(Junta de Extremadura)の長がEUの会合に呼ばれて話をしたり、あるいはこの間の選挙で選ばれたスペインの大統領も公の場でSeymour Papartの名前に言及したり、政治的にもヨーロッパ全体で大きな注目を集めている。

この大統領は例の爆弾事件の余波で、本人も「当選するはずがない」と思っていたのに当選してしまったわけである。公約には、いろいろ「できそうもないこと」、例えば「生徒2人当たり1台のコンピュータを全スペインの学校に導入する」ということを書いていたりしたそうであるが、何しろ思わず当選してしまったため、このコンピュータの話も実現させなくてはいけなくなったわけである。そのときにFront Runnerとして一足先に走り出していたLinExプロジェクトの存在意義がクローズアップされてきた、という効果もあるらしい。こないだの日記に書いた「Debianの"ian"の人」Ian Murdockも、意味もなく訪れたわけではないのだよな。

文部大臣はもともとAlanと同じように生物学者だったらしいのだが、前回Alanが訪ねてきて会談したときには、何十年も話をしたことがなかった生物の話をすることができたため、「もう政治家などやめて生物学に戻りたくなった」と言わせたり、国のトップレベルの人の心をつかんでいるところが強みであろう。

とはいうものの、やっぱり「カリキュラム問題」が解決されているわけではなく、まだまだ難しい問題はいろいろ残っているのではあるがね。

LinExのLinux distributionはDebianをおおむね基にしているが、インストーラスペイン語のみのものにしてタイムゾーンの指定やキーボードの選択を飛ばせるようにしたり、エンドユーザ向けの改良をしたものだそうである。