ライセンスについて

一部で話題になったSqueakのライセンスについて。http://www.squeak.org/download/license.html

僕は乱暴な意見を言っているように思われたかもしれないが、Squeak License(以下SqL)は(何度も)読んだし、起草に関ったチームメンバーと意見を交換したり、メーリングリストでAndrew Greenbergが関って議論していたころからずっとライセンス周りの議論も読んでいる。というわけで、「そんなのどうだっていいんですよ」という発言はするものの、まったく何も知らないでそういうことを言っているわけではないのだ、とそっと主張しておきたいと思う。IANALではあるが("I'm not a lawyer"。ライセンスの議論はみんな大好きなのでいろいろなソフトウェアのメーリングリストで時々話題になるが、99%以上の人は法律家でも弁護士でもないので、「自分の意見は専門家のものではないがね」という決まり文句がほとんど常に登場し、それがあまりにも一般的なので略語で通用するわけだ)。

というわけでライセンスの話をするのは嫌いなのだが、ここでしてしまおう。やっぱり好きなのかも。

 前提としては、まず「世の中、誰かが誰かを訴えようとすれば誰でも訴えられるので、絶対に安全になることはできない。できるのはなるべくリスクを減らしていくことだけである」という考えである。それから「素人が法的な効力を持った文書を作ったつもりになっても、実際になんらかの理由で法律の専門家と対峙することになった場合には、そのような文書はほとんど役に立たない」というものもある。後はあまりここの議論には関係ないが「法律家の常識と一般人の常識は少々ズレている」というものもあるだろう。

さて、Nihongo7のようなソフトにSqueak Licenseを同梱して配布しなくてはいけないか、というと、某所でも言ったように「別に反対はしない」。が、「絶対にそうしなくてはいけないか」というと、そうではないと思う。なぜなら、SqLにはどこにもそのようなことは書いていないから。「ソフトをダウンロードしたら同意したものとみなす」というだけのこと。もちろん、SqLでカバーされたソフトウェアであることには違いないので、SqLでカバーされたものであるとして配布する必要はある。

だが、日本語訳した物をつけるか、という話には絶対反対である。素人が外国の法律を念頭に置いたライセンスを日本語に訳しても、それがなんらかの実質的な効力を持つことは期待できない。逆に、それを読んだ人が誤解して、「翻訳が悪かったから誤解した」という訴えを起こしうる余地を生むだけである。いくら「これは試みに訳したものなので、実際の効力はありません」と書いたところで違いは無い。そもそも効力が無いならつけないほうが良い。SqLで「同意したとみなされる」のはダウンロードする人なので。