ライセンスについて(その2)

というわけで、配布物をどうするかという話はそれで良いのだが、なんとなくもうちょっと思うところを。

 「このソフトウェアは兵器を作ったり制御したりする用途に使ってはならない。それ以外であれば自由に使って良い」とという意味の条項を含むライセンスをつけたソフトウェアを少なくとも2つ知っている。この精神にはかなり共感は覚えるが、これはあくまでも作者の信念の表明であって、法律的な効果を期待してはいけない。ソフトウェアを書いてフリーで配布したいというときに、法律家の支援なく法律的な文書を書くのは危険であるし、兵器の定義のようなところでぼろぼろにされることだろう。

 SqLにはindemnificationとexport controlという気持ち悪い条項はあるものの、もし法廷の場に引きずり出される可能性を真に考慮した文書であれば、ばら色のものは書き得ない(SqLAppleの法務部が書いたものである)。Squeak LicenseはOSIが定義する("Open Source")には当てはまらないかもしれないが、別にだからといって"open source"でないわけではない。

 禁輸条項対象国に輸出してはならない、という条項があるから"Open Source"になれないわけだが、禁輸条項対象国に輸出してはならない、と書いてないソフトウェアなら輸出して良いわけではない(訴える気になればなんでも訴えられる)。

フォント問題は、Nihongo7はAppleのフォントは含まないので関係がない。

 現在のApple法務部の立場は、「SqueakはすでにAppleが興味を持って管理するソフトウェアではないので、ライセンス条項をいじる意味を見出さない」というものである。この意見、およびこれまでいったいどれだけのSqueakイメージの変種がライセンスをパッケージに同梱することなく配布されてきたか、どれだけの禁輸条項対象国の人がダウンロードしてきたか、ということを考えればもう十分グレーだったものはたくさんある。

 結論は、結局「Nihongo7はライセンスのことはあまり気にせずに使ってください。常識の範囲で行動すれば問題にはならないことでしょう」ということになる。というわけで、よろしくお願いします。