お昼

またしてもお昼はMarket City Caffeだった。Alanからまたオルガンに関する熱い語りを聞いてしまったのだが、関連した話がとても興味深かった。

バッハが書いたDas Wohltemperierte Klavierという楽譜集の表紙には、花文字で書かれたタイトルの上にちょっと不規則性のある渦巻きのような模様が描かれている。長い間、ただの模様、いやでも妙に不規則だしなにか意味があるのかも、といろいろ論議があったらしいが、最近ある電気工学者で調律師でもある何とかという人が、実はハープシコードの調律に関する暗号ではないかという仮説を発表したそうである。

2重の渦、1重の渦、0重の丸が連なった模様なのだが、それぞれ1/80オクターブ(?)の平均律からのずれをどの音階に割り振るか、ということ(だかどうだかは僕はよく理解できなかったが)を表しているという仮説だそうだ。この仮説は、ロジックとしても確かそうな上に、この規則に従って調律したハープシコードで実際に演奏するとすばらしく聞こえる、というもっとかっこよい証拠もあるので、相当に確からしいそうである。

 250年前にちょっとした符丁として(たぶん)作曲家が描いた暗号を、今解き明かす人が出たという、音楽的にも数学的にも技術的にもロマンのある話だった。