The Fifth International Conference on Creating, Connecting and Collaborating through Computing C5 2007

というわけで、C5。まずはMarc Stieglerの招待講演。彼はSF作家でもあり、HP Labsでセキュリティの研究もしているという変わった人である。

集合知を意思決定に生かすために、多様性があり、独立していて、分散した意見を持った人々が集まる場を作り、先物市場のように意見が異なることを理解しつつ行動する人々が集まる場を作ると、かなり正しい予測ができるという話である。僕は「集合地を利用した意思決定が応用できる話もいろいろあるのはわかるが、例えばビンの中のjellybeansの個数など、数えられるものは数えるべきだし、マーケットによる失敗例もたくさんあるはずだし、掛け金が高い場合は、賭けている人はそれを成就すべく行動するので、『予測』とだけいってはいられないだろうか」と思うわけではある。チャレンジャー打ち上げの失敗原因がどこにあったかをマーケットが24時間ほどで(結果的に)当てていた話など、出てきた例題は面白かったけど。MarcはEarthWebという小説の中でOLPCを予測していたと言っていたが、どんな話だったのか知らん。彼とはOLPCの話やあるいはPowerPointを批判する話をなぜPowerPointを使ってしたのか、ということなどについてその後大分話した。

一般の研究発表は残念ながらしょぼいものが多いのだが、山宮さんによるTinLizzeとWikiPhoneの発表が(贔屓目ではなく)一番受けていた(あれ、俺も共著者だったけど)。Rickがlow latencyのTCP/IPについてなにやら言っていたな。

午後のセッションはどちらかとは言わないが、ほとんど話の通じない人が順番に出てきていたりして良くわからず。

その後は、パネルセッション。パネルほどあほらしいものはないと公言しつつ時々しているのだが、今回のははっきり言ってなかなか良かったと思う。パネリストの1人Bernard Krisherさんは、ただものではなかった。カンボジアを援助する活動を何十年もやっているのだが、病院を建て、学校を建て、インターネットのインフラを作り、ということを地道にかつMedia Labとも協力してやっていきているし、話もしっかりしているのである。もう1人のパネリスト森さんも以前からPangaeaをやっていて、Kenyaでの経験などについて話していた。その後実は僕がパネリストとしてOLPCについて話したのだが、なにしろOLPCはまだ実地テストが行われていないので、やや肩身が狭い。もしかしたら長々話してしまったかもしれないが、そこそこ伝わった、のだろうか。コンテンツが大事ということをもう一言くらい強調したかった気もするが。

近い将来にほしいものが何かといえば、Squeakで作って発表した中身をはてなダイアリーにアップロードできるようにしてもらうことだな。

質問にぱりっと答えることができず、私がOLPCに従事しているといっても、知らないディテールがたくさんあることだなと思った日でもあった。