Manzanar to Mount Whitney: The Life and Times of a Lost Hiker

Manzanar to Mount Whitney: The Life and Times of a Lost Hiker

Manzanar to Mount Whitney: The Life and Times of a Lost Hiker

しばらく前に読みました。実は未だ正式出版ではないですが、先日Manzanar National Historic Siteを訪れたとき、著者のHank Umemotoさんが講演をして、サイン本をいただいたのです。「日本語はしゃべれるけど書けないんだよね」ということで、英語でサインをいただきました。

Hankさんは14歳から17歳までManzanarに収容され、その後朝鮮戦争時代にMISにおり、その後の人生を山あり谷ありで過ごしてきた人です。70を過ぎてから山登りを本格的に始めて、48州の最高峰Mt. Whitneyにも10回以上登っています。様々な登山でトラブルにあったり生死の危機を迎えたりするエピソードを、彼自身の人生におけるエピソードと絡めて紹介するという本です。Manzanarでの経験も「楽しいことばかりだった」といい、「いまさら不正義のことや被害のことを恨んでもしょうがないから、人生のエピソードとして前向きに語ろう」という力強いメッセージが良く伝わります。

Ronald Reaganが大統領だったときに、収容所暮らしをした人に$20,000の保証金を配るという法律が成立しました。が、Hankさんは受け取りを拒否しました(「不正義の被害者ではなく、勇気と誇りを持った日系人コミュニティの一員なので」という理由で)。彼が拒否理由を説明する美しい手紙も載っています。それで、彼が受け取らなかったそのお金は"Civil LIberty Public Education Fund"という基金に回りました。その約20年後に彼がそれまで書き溜めていた短いエッセイを本にまとめるとき、「プロのライターの助けも借りなさい」という編集者の助言のもと、彼はCalifornia州政府に援助申請をして$25,000が認められたのですが、そのお金は結局のところ同じCivil Libery Public Education Fund"が出所だったそうです。「まずまずの利子がついて返ってきた」というのがHankさんの講演のpunch lineでした。

私もこれまでの間に何冊か日系人ものの本を読んできましたが、これはまた毛色が違っていてお勧めです。