Camp Extremadura

というわけで、予定では来週の火曜日からヨーロッパ巡業をするはずなのだが、いろんなことがまだまだ決まっていない状態である。オブジェクト指向界、特に動的なオブジェクト指向を志向している人々の間では、予定をぎりぎりまで決めないでがんばる人のことを、「より多くの情報を集めてから柔軟に物事に対処する」という良い意味、および「他人の予定を決めさせない」という悪い意味の両方を込めてlate-bounderと呼ぶのだが、Squeakerの多くはやっぱりlate-bounderなわけである。

なんとなくこの辺でなぜExtremaduraなのか、ということをもう一度書いておくと、スペインの一地方であるExtremaduraは、比較的予算に恵まれないところなのだが、コンピュータを使った教育を一挙に進めるべく、"white box"つまりOSなしの機械を買ってきてLinuxを入れ、Squeakを主要な教育環境として使う、というLinExプロジェクトと呼ばれるプロジェクトをやっている。規模は半端ではなくて80,000台のコンピュータで十数万人の生徒を対象にする、というものである。

我々の仲間で、アルゼンチン出身だったDiego Gomez Deckがリーダーとなって、Squeak関係のソフトウェアの開発と保守を行っている。こちらもまだカリキュラム問題は残っているが、行政側からのサポートも含めて、推進力が備わっているのでなかなか楽しみである。

今回のSpain行きでは、実地の様子を観察させてもらうとともに、もし実装したい機能等があれば、そこで一気にいくつか作ってしまおう、というCamp Smalltalk的なのりを期待しているわけである。

Debianの生みの親であるIan Murdockも最近LinExプロジェクトとDiegoを訪れたそうである。DiegoがSqueakのデモをした結果、Ian MurdockもSqueakのことを気に入ってくれたようである。なにしろ適齢期のお子さんがいるようなのでつぼにはまったようだ。

それでもまたdebian-legalなる偏執的な人が集まっていそうな(偏見?)メーリングリストではSqueak License問題が話し合われている。Ianあたりが一発「それでも行ってみようじゃないか」というような鶴の一声を入れたりしないもんかね。

http://lists.debian.org/debian-legal/2004/debian-legal-200404/msg00160.html