Cyc

先週は1週間まるまるAustinにあるCycorpに缶詰になり、みっちりとCycについて勉強していました。

Cycというのは大きな知識ベースとその推論システムの名前です。もともとは日本の第5世代コンピューティングプロジェクトに脅威を覚えたアメリカが、対抗するプロジェクトとしてMCCという組織を立ち上げて、知識ベースをを作って行こうということではじまったプロジェクトでした。第五世代の人々とも交流が多々あったようです。その後は会社組織となり、山あり谷ありながら30年の時間をかけてみっちりと知識やルールを積み上げ、矛盾を内包するようなデータからでもなんらかの結論を出せるという推論エンジンになっています。

Cycは現在のところ、50万の概念、17万の集合、それらの関係を記述するassertionの総数として1200万、というような規模に育っています。Doug曰く、成人は5億個くらいの言明を頭に蓄えているが、Cycはその2%くらいまで来ていて、主導者のDoug Lenat曰く、予定より20年遅れたがようやく「使えるようになってきた」というところです。

いろいろなデモをみた限りでは、「常識」を備えたコンピュータ、というところまでは来ているとは言えないのですが、ちゃんとドメインに特化した知識を登録し、それに応じたqueryを投げるとちゃんと推論して、推論の根拠をちゃんと表示できるようになっています。

我々の研究では、プログラム同士がお互いを発見して、どのように恊働できるかを導きだす、というようなこともしたいのですが、Cycがその助けになるのではなかろうかと探っているところです。