OLPC

もう一週間ほど前のことになるが、OLPCの開発者向けメーリングリストにおいて、「スプレッドシートアプリを作っている人はいないか?」という質問があった。

http://lists.laptop.org/pipermail/devel/2007-May/005207.html

それに対して、「スプレッドシートを6歳からの子供に使わせるべきではない」と決め付けた人がいた。その決め付けの理由は、概ね「俺は作っている人がいると聞いたことがないから」というものだったのだよね。

http://lists.laptop.org/pipermail/devel/2007-May/005217.html

Jim (Gettys)も「そんな決め付けはよくないよ」と書いていたが、

http://lists.laptop.org/pipermail/devel/2007-May/005222.html

俺も興味があったので、「スプレッドシートで数字のことを学んだり、グラフを書いたりできるのになぜ使わせるべきではないと思うのか」と聞いてみた。

http://lists.laptop.org/pipermail/devel/2007-May/005223.html

決め付けをした人は「いや、ちょっと書きすぎだった」と謝っていたので、

http://lists.laptop.org/pipermail/devel/2007-May/005230.html

PowerPointみたいな短い箇条書きを促すような事務処理ツールの使い方を学ぶのは教育の目的ではないので、そういう議論はありうるがね」とフォローをしておいた。

http://lists.laptop.org/pipermail/devel/2007-May/005233.html

が、話はここから微妙な方向へ展開する。OLPCのUIのリーダーで、UIスタイルガイドラインを書いたり、アイコンやメニューバーなどのデザインをしたり、なによりXOの全体のUIに関する決定権を持っていたりするはずのEben Eliasonが、「プロジェクトに参加したときからほしいと思っていたアプリケーションがあるんだよ」と言って以下のようなものを持ち出してきたのだ。それは、

  • スライドショーなんだけどどちらかといえば現代版のHypercardみたいなもので
  • イメージやサウンドや動画やテキストを扱うことができるだけではなく
  • Logoタートルも操作できるが
  • 同じLogoみたいなスクリプティング言語でプログラムできるので、
  • 次のページに進むというアクションや、マウスカーソルの位置など使ったプログラムが簡単に書ける

こういうものがあれば子供がコンテンツを作れるだけではなく、先生方にとっても教材作りの最高の道具になるだろう。と書いてきたのである。

http://lists.laptop.org/pipermail/sugar/2007-June/002597.html

「それなんてEtoys?」という突込みがAlanや(SJからも)含めて各所からあったわけです。本当にありがとうございました。

というわけなのだが、なによりEtoysチームが先月Cambridgeにいたときは、Ebenもそこにいて我々のデモも見ていたと思ったのだがね。リーダー格の人がこれだからな。SJもものを学ぶのが得意なタイプではないなと思ったわけではあるが、それでも我々と一週間ほどすごした結果、何ができるのかというアイディアは得たようではあるのに。「人間誰しも見たいものを見る」習性があるのは否めないし、常に自戒しなくてはいけないことでもあるのだが、Etoysについて知るのはそこまで難しいものなのかね?

Ebenの働きぶりで問題だと思ったのは、アイコンやメニューのデザインを「わき目も振らず」Adobe Illustratorでひたすらやっていて、プレゼンテーションもFlashやPDFでやっていたことではある。最終結果はXOの特殊なディスプレイ上で、XOのある種特殊な性能の元で表示・実行されるものなのだが、このスタイルだとどうしても「すごくきれいで凝ったもの」を早いコンピュータ上で高機能なソフトで作ってしまい、結果として使いにくいものになるという傾向が出てしまうように思う。彼みたいな人こそUIのモックアップなどはEtoysでやって、Pythonで後から書き直すというようなスタイルでやればよいのに。