Wikimania 2006

なぜか朝から得意の交渉術を発揮する羽目になってしまった。まあ怪しげな方法でレジストレーションしたことの余波であるが。

Jimbo Walesの話は、主に財団の組織的な話。弁護士さん(Brad Patrick)が一時的CEOとして入っていて、組織作りを良くやっている。5人のフルタイムがいる。政治討論用のCampaign Wikia、Wiktionaryの新しいインフラ(?)WiktionaryZ、大学用のマテリアルWikiversity、そしてSocialtextという会社のwikiwygをとりこむことなどのアナウンスがなされたが、なによりOLPCMediaWikiが乗る、ということがみそではあるな。http://wiki.laptop.orgMediaWikiなのでまあ本命だったわけだが、某Wiki engineを当て馬にしておくところがさすがOLPCだ。

英語版は百万記事を超えていて、これからはクオリティをあげることに力を注ぐそうだ。Wikipediaの記事の中にある注意書きがちゃんと会社的ポリシーに基づいて置かれていた、というのがよくわかった。分野ごと、例えば生きている人の経歴という微妙なやつをがんばっているらしい。

Seigenthaler問題で、CNNが取り上げて以降、cnn.comのヒットよりもwikipedia.orgが多くなった。Natureに載った研究で、同じような長さの記事をWikipediaとBritannicaから選ぶと、平均4個の間違いがWikipediaにあるが、Britannicaでは3個だった。Wikipediaは、科学分野で強みを発揮している。

部屋を替わって、Benjamin Mako Hill。彼は、しばらく前のOLPCアップデートでtamagocchi-likeな無線LAN最適化ゲームを作ったと書かれていた人だが、本職は法律で「definition of freedom」ということをやっているらしい。Creative Commonsライセンスの使われ方の分布など。

Ward Cunninghamwikiに関するいろいろな質問に答える、というもの。top-downスタイルのハイパーテキスト編集で、存在しないページにリンクを作りながら書いていける、というのがwikiの肝である、という意識だそうだ("i"が名前に2つ入っているだけではなく)。部分的な貢献が受け入れられることも挙げていた。HyperCardでダイナミックにできてよかったということもちゃんと言ってくれていた。

俺も質問に立ち、Alanの不満を元に(Alanの名前を出さずに)意見を聞いてみたのだが、さすがに古いSmalltalkerだけあって(?)、AlanがLogoWikiを作らせた、ということを知っていた。後で挨拶に行ってちょっとしゃべりました。まあ実行できるのは良いんだけど、WikiWikiの第二版でPerlコードを編集できるようにしていたが、余り使われなかったということもあるようだ。コードを試させる、というために「いじっても安全である」という感覚を与えるようになっていけないといけないのだろうと思った次第でもある。ただ、単純にフェンスを建てておくだけではなくて、システムのほかの部分にも影響するようなコード変更が起こったときに(ちょっとWikiの文脈を離れている話だったが)、関係するオブジェクトたちにもちゃんと通知されて、人間が問題を解決するようにして、「変化に強いシステム」を目指すべきだとも。後は、Smalltalkが全システムになっていて、Alanは研究指向だけど、やっぱりそとの世界と話ができるようにすることも大事と言っていたな。

Lawrence Lessigはred-eyeで今朝来たらしい。えらくはなりたくないものだ。内容は「いつもの」とも言える。read-only (RO)からread-write (RW)カルチャーへ、ということだ。が、書き言葉は文化としてはラテン語みたいなもので、今の文化的言語はテレビであり音声であるのだから、それをmixしていけるようにすべきだ、という主張を聞くと、McLuhanのglobal villageの「暗い」予想は、まあここに成就したと言えなくもないかも、である。CCの浸透は過去6ヶ月くらいで本当に爆発的に進んだようなグラフがあった。何事も最初はがっかりしないで続けることが大事だな。固有名詞のたくさん出てくる話でそれなりにメモを取ったが、このメモはきっとWOである。

Stable Wikipediaという話が進んでいる。CDやDVDに焼いて、Wikipedia 1.0として出す。ドイツではもう行われているが、これはドイツ語版を全部とって、ごみを除く、というやり方で作られた。英語版は、ゼロから良いやつを集めるというやり方だが、ランク付けのやり方から話し合っていてなかなか埒が明かなかった。が、一応Featured ArticleとかAとかBとかランク付けするようにして、FAが100くらいできてきた。

人文の人の発表は聞きながし。ただ、OLPCGoogle Summer CodeでOne Encyclopedia per ChildというプロジェクトをやっているEricが質問していたので、休憩中にちょっとお話。ひとつ質問するとすごい身振りで100倍くらいの長さの答えになって返ってくる。

Semantic WebWikipedia。カギ括弧を使ってリンクを張るときに、中に関連を書ける。あるいは、関連ページへのリストを宣言的に書いて生成したり。
これは、人間のミスも許されそうなのでSemantic Webとしては良いほうかも。あまりたいしたことはできない、という言い方もまたあるが。

自然言語処理とつなげた話は、ヨーロッパスペイン語アクセントでBritshっぽく話す英語だった。だからなんだということはないが。

慶応SFCの太田 尚志さんという人に会いました。がんばってます。早速マイミクになってもらいました。