WCCE 2009最終日

なんだかあっという間に5日目ということで最終日。全体を通して、発表は指導経験の発表みたいなものが多かったです。会場の音響があまりにも悪すぎて聞くに堪えないのが大きな問題でした。大阪大から来ていた溝口先生のグループが先生のキーノートも含めて何件かありましたが、オントロジー界はcycの話を聞くくらいで後はぼやぼやしている間にいろいろと進化しているのだなあと感心。オバマのグランドチャレンジの話ではないですが、メンタリングUIの部品はいろいろあるのですね。

変り種というか参加者のイライラおよび物笑いの種となっていたのは、Valdemar Seltzerというブラジルではその筋で有名な人でした。「OLPCを批判する」というタイトルでまずは耳目を引き、「コンピュータを子供に与えるのは良くない」ということを簡単な雑誌引用や文脈無視の論文引用やらで主張していたのですが、途中に「Waldorf Educationという証拠があって」と言うところで、ようやく本当に何が言いたかったのかがわかりました。要はシュタイナー教育の超教条的な信奉者なので、SteinerやWaldorfの主張を文字通りに持ってきて、文字や記号というところに「コンピュータ」という言葉を当てはめて焼きなおしているだけでした。コンピュータの画面上に書いたものはアートではないとか。それまでの話しぶりがあまりにも教条的でもあったので、私は"Waldorf Education"という言葉が出てきたところで「あー、これは宗教告白だったのだな」と理解したのですが、講演を聴いていたほかの人はそれに気がつかなかった人がほとんどだったため、彼が「コンピュータと教育について考えた結果しゃべっている」と誤解し、熱くなって質問している人が多くいました。そういうのが楽しみでこういうところに来ているのにえさをやっているようなものだよね。僕は他の人をなだめるようにがんばりつつ「Waldorf Educationに共感しているみたいだけど、あなたが文字を読み始めたのはいつですか?」と質問してみたのだけど、結局僕も熱くなっていたようではあります。Valdemar (通称Voldemort)はその後もMartaや他の人の発表に対していちいち質問をしていました。その後ロビーでみなで話をしたりもしたけど。創造論者のようなものでまあ議論は成立しないです、こういう人とは。

ヨーロッパでちょっと盛り上がっているcomputational thinkingのコンテストビーバー(http://www.bebras.org/)の発表もありました。ビジュアルに訴えるものを一問3分くらいでどんどんといていくというスタイルのようですが、何万人という子供たちが参加しているそうです。性別の違いによる傾向などはあるかどうかというできレースのような質問をしてしまいました。

そういうことよりも大きな収穫はRafaelとPaulaという写真の先生が会場でゲリラ的に開いていた、ピンホールカメラ作り(フロントエンドだけだけど)のワークショップに参加できたことかもしれません。ボール紙を切って四角くして、缶に穴を開けたものをくっつけるわけですが、Rafaelはまた陽気な感じで楽しく作れました。彼はグアラニー族の部落に良く行っては子供たちにカメラ作りを教え(トマトソースの缶の内側に印画紙を入れて、暗室も作って現像もする)、そのカメラで撮った写真集を出版したりしているのです。私もグアラニーの子供たちと(他のブラジル人の子たちとも)仲良くなって(たぶん文明によく触れている感じの子供たちだったけど)、なかなか充実気分でした。まあ展示会場をうろうろしていただけという説もありますが。

仲良くなったと言えばいろいろなお姉さま方やお兄様方とも仲良くなりました。イタリア人を祖先に立つ人が多いわけなので、イタリア萌えの血も騒ぎますね。

われわれのパネルセッションは、観客は少なかったもののリモートにライブキャストは一応されていたそうです。ちょっと浅い感じだったかなとは思いますが、まあパネルなのでしょうがないですね。

ブラジルや他のラテンアメリカ諸国ではEtoysがちょっと盛り上がっている感じなので、ちゃんと自立してやっていけたらちょっと良いのではないでしょうか。